歴史に学ぶ

 かなり大雑把な言い方だが、古代から現代に至るまで、我が国の歴史は、米(食料)、水、土地を中心に、大義のもと、誰がどのように管理調整しながら、民を導いていくのかを模索してきた歴史であるように思える。主導権を握る体制は、各時代の背景や権力闘争、環境変化によって形成されてきた。技術や情報などの進化は、生活様式や社会システム、ビジネスのあり方やり方を大きく変えてきたけれども、人が人生を豊かに過ごしたいと願うことや何かに不平不満をもつことなど人の本質面はあまり変わってないように思う。

 歴史には、2つの遺産がある。それは、物理的遺産と精神的遺産である。これらを通して我々は多くのことを学んできた。前者は、考古学における遺跡の発掘などを通して(いにしえ)の知恵を学んできたし、後者は、地域ごとの風土や慣習、語り継がれてきた神話や物語などを通して生き方に活かしてきた。過去も現在も未来もこの道筋は変わらない。どんなに文明が進歩しても、この2つの遺産は残り続けるのである。

 会社を経営するということは、実はこの歴史をつくることでもある。事業を通して、物理的遺産と精神的遺産を如何に残していくのかが重要である。負の遺産をできるだけ残さず、正しき遺産を残し続けることができた会社が老舗企業として繁栄していくことになるのだろう。自分を振り返ったとき、時代を超えて残せる遺産がどれだけあるのだろうかと思う。経営において大切だけれども難しいことの一つである捨てる勇気、何に集中特化して何をやらないかを決めることを通してしか遺産は残せない気がする。まだまだやることは多いのである。

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