両輪を回す経営
コロナ禍が続く中、中小企業に様々な影響がでている。業績が苦しい企業だけではなく、逆に、業績が伸びている企業もある。私の関係先をみてみると、業績が厳しく赤字の企業が25%、黒字の企業が75%、うち、50%は大幅に利益を伸ばしている。赤字の企業の大半は、業績が良かった時に現状の課題解決に重心を置き過ぎ、将来のことを考えてはいても真剣に取り組む意欲が弱かったように思う。逆に、大幅に業績を伸ばしているところは、業績が良くても悪くても、将来の目標に照準を合わせて、今やるべきことを愚直に続けてきた傾向がある。同じような取組みをしていてもやり方ではなく、あり方の違いが大きく影響しているようにみえるのである。また、基本に忠実に実践していても、重心の置き所を間違うと結果が違ってくる。
30年ほど中小企業をサポートする仕事をしているが、経営は繊細である。ちょっとした違いで将来が変わってくる。コロナ禍を通して、油断や驕り、対応の遅れが如何に経営にダメージするかを改めて実感させられた。IOTやAI、クラウド型のシステムツールの普及などの情報化の進展、科学の進歩による技術革新が著しい。これらの情報ツール・情報システムや先端の技術を取り入れたら経営が良くなると考えている経営者も多い。
しかし、これらは道具であり手段である。しっかりとした経営理念や戦略・計画、継続的な改善の取組みやモチベーションの維持など経営の基本があってはじめてこれらが活かせるのである。経営は機械や道具、情報システムがするのではなく、人がやるものだ。人のあり方や基本があってやり方を工夫する方がシンプルで無理がない。この両輪を回す経営が環境変化に強い会社のキモとなる気がするのである。